冬の旅　Winterreise

　　作曲：Schubert
　　作詞：Müller

　　　　　　　　　　　　　　歌　：　　さだ
　　　　　　　　　　　　　ピアノ：　Sada
　　　　　　　　５）Der Lindenbaum　菩提樹

　　　　　　　　　　　　　mp3

Am Brunnen vor dem Tore Da steht ein Lindenbaum; Ich träumt' in seinem Schatten So manchen süsen Traum.	市門の泉のところに　 　菩提樹が立っている。 　その木陰でぼくはよくまどろんで 　いろんな甘い夢を見た。
Ich schnitt in seine Rinde So manches liebe Wort; Es zog in Freud' und Leide Zu ihm mich immer fort.	木の皮には　 　ずいぶん好きな言葉をきざんだ。 　うれしい時もかなしい時も　 　引きつけられるように、そこに来た。
Ich must' auch heute wandern Vorbei in tiefer Nacht, Da hab' ich noch im Dunkeln Die Augen zugemacht.	きょうも深い闇のなかで　 　そこを通らなければならなかった。 　真っ暗なのにぼくは　 　じっと眼を閉じた。
Und seine Zweige rauschten, Als riefen sie mir zu: Komm her zu mir, Geselle, Hier find'st du deine Ruh' !	すると枝がざわめいたのだ。 　まるでぼくを呼んでいるようだった。 　「友よ、ぼくのところにおいで。 　ここならきみも落ちつけるよ」
Die kalten Winde bliesen Mir grad' ins Angesicht; Der Hut flog mir vom Kopfe, Ich wendete mich nicht.	そこに、つめたい風が吹きつけて 　もろに顔にあたった。 　帽子も頭からふっ飛んだけど　 　ぼくは振り向かない。
Nun bin ich manche Stunde Entfernt von jenem Ort, Und immer hõr' ich's rauschen: Du fandest Ruhe dort !	いま、あれから何時間も経って 　ずいぶん離れたところまで来た。 　でも、枝のささやきが 　いつまでも聞こえている。 　「あそこなら落ちつけるのに」

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